魔法先生ネギま!ANIME FINAL 劇場版

どうも1年ぶりです。前回の日記に書いたように今は熊本で働いております。
最近はもっぱらtwitterばかり利用してこのブログは放置してたんですが、今回のこの劇場版の感想はしっかり書きたいなと思いブログを更新してみました。
ネタバレ満載でがつがつ書いていこうと思ってますので引き返すなら今のうちですよ?
よろしい方は続きからどうぞ。




まずご存じのとおりこの劇場版は出来が悪いとすこぶる評判でした。
ことの発端は赤松先生のこのツイート



普段赤松先生はアニメに対して苦言を呈することはほとんどしません。
なぜなら「漫画は漫画、アニメはアニメ」とかなり切り離して考えているし、
アニメの制作が大変なのも重々承知しているので多少出来が悪かったとしても「作ってもらえただけありがたい」と考えているからです。
そんな先生がこれほど露骨に苦言を呈するのははっきり言ってかなり珍しく、ファンは戸惑いを隠せませんでした。
ただ結果的にみるとこの発言はある意味正しかったのかなと自分も思いました。


今回の劇場版は原作もかなり終盤に入って、OADの売り上げはすこぶる上々。
そんな8年間も応援し続けたファンのために最後の恩返しをしようという名目で始まったのがこの企画だったはずです。
この「8年間の集大成」「最後のアニメ化」というあおり文句はやはりかなり意味が重かった。
もしそのまま並々ならぬ期待を持って映画に臨んでいたらファンの失望はもっと激しかったと思う。
それを普段苦言をめったに言わない先生が言ったことで期待値を下げたのは効果が大きかったと思います。
自分はそれこそ100点中10点くらいのイメージで見に行ったら30点くらいでそんなに凹まずに済みましたw
ただ見ればわかるとおり「それって赤点じゃん…」ってことに違いはないんですがw
ではここから「なぜ30点なのか」についてネタバレ上等で考えてみましょう。


まずは絵に関してですがOADの時とあんまり変わらず、抜群によくはないけどまあいいかなというレベルでした。
ただ序盤にあった楓VS真名のバトルとか、最後の超とネギの場面とか露骨な使いまわしはやはりかなりげんなり来ます。
そしてなにより動きがかっこよくないというのが…
バトルメインのネギまより後のハヤテのアクションシーンの方がしっかり動いていたという印象。
あとネットで騒然の「真っ白シーン」は本当に笑っちゃうくらい長かったw
あの画面に意味があるならともかくただ爆音をバックに白いスクリーンを20秒くらい見させられたらそりゃ時間稼ぎ以外考えられませんわな。
個人的に非常にもったいないと思ったのがEDの卒業式の歌の場面。
曲は本当に素晴らしく感動的だったのに、ただ生徒全員の口パクのみってのが…
過去のOADだとかの回想を入れてムービーっぽくするだけでも全然感動度合いが違ったはず。


そして一番の問題であるシナリオについてです。
原案は赤松先生本人が提案した「最終回Bプラン」ということもあってまあしっかりはしていたと思います。
ただ何より問題だったことが「唐突」に物語が動いてしまっていた点。
例えるならいわゆる「起承転結」の基本から見て「転承転結」とでもいうくらい安定してなかった。



このように作者が注意喚起しておかないと本当に唐突過ぎてついていけないです。
まず最初の「起承転結」の「起」が丸々はしょられてるのが大問題。
ネギは始まりの魔法使いをやっつけたーといういうだけでそれ以外がなんもなく、
いきなりクラスメート全員が暗い顔しながら「明日になったら魔法の記憶なくなっちゃうんだ…」とか言われても全く共感できない。


そしてクライマックスの火星が落ちてくるシーン。
これもまったく説明がなかったから本当にぽかーんとするしかありません。
なにより問題なのがこのシーンをその場で学園長たちが一気に説明したせいで先生たちの印象がすこぶる悪くなってしまったこと。

学園長「じつは始まりの魔法使いを倒したらこうなるように設定されていたんじゃー」
タカミチ「この事態を防ぐにはマギステルマギに最も近いネギ君が今すぐ本契約するしかないんだー」
クウネル「ほらほら早く一人に決めろよ お前が悩んでるだけでみんな迷惑してるんだよ」

まあ最後の一文はかなり悪意あるようにセリフ改変しましたがw本当に一気にこんなことを10歳のガキに言い放ちます。
原作では魔法世界と麻帆良学園がつながったら学園長もクウネルもがんばってくれました。
しかし映画では本当にネギに任せて勝手にこう言ってるだけ。
いくら3-Aのクラスがメインとはいえ大人たちがちょっと無責任すぎるだろと呆れました。


またこれは赤松の原案の時点で問題あるのかもしれないんですが、
上記のようにネギはかなり10歳の年相応のガキっぽくなりすぎてる感じがしました。
本契約=パートナーを決めるという色恋に関して悩んでるのはまだいいんですが、
原作では「ぼくにはプランがある(キリッ」とか魔法世界に関する考察は誰よりも進んでいたはずで
例え途中で分岐してプランBのエンディングにいったとしても、
火星が落ちてくる可能性はネギだったらわかってたんじゃないかなあと思ってしまった。
そこまではいかなくても始まりの魔法使いを倒したあとに「何か」あるとは最低でも考えていそう。
この考察はかなり個人的で賛同してくれる人が少ないかもしれませんが…


ただ言えるのはせめて冒頭に「火星が落ちてくる伏線」をはってほしかったということ。
これがなかったせいで「わけわからん非常事態になったけどとりあえず31人全員本契約で問題なしだぜ!」というご都合主義的な面がものすごく強調されてしまった感じがします。
ネギまが超王道ハーレムエンドになることに文句を言う人は多分誰もいません。
ただその王道に行くまでの道をかなり詳細に詰めたのがネギまという作品が人気になった理由だと思います。
それを放り投げて最後だけ強調されてしまったのがものすごく残念でなりませんでした。


色々厳しい意見を言ってしまいましたが数少ない良かった点をいくつか紹介します。
まずクラスメートが最後の夜を思い思いに過ごすシーンは悪くなかったと思います。
特に茶々丸がバックアップを取るシーンと、夏美と小太郎がみんなの心配をするシーンは普通にニヤニヤできました。
これに関しては同じ意見の人多いと思います。
あとは超をしっかり入れて31人全員になったところ。
まあ超が「みんなのおかげで戻ってこれたネ!」とか喜んで戻ってきたのは違和感ありましたが、
(超は3-Aのみんなが好きだけどこの時代に戻ってくることを自分のプライドとして良しとは思わないんじゃないかと思うので)
やっぱ超が戻ってきたことは個人的にはすごくうれしかったです。
そして最後のEDの卒業式の歌。
CDは買っていましたが今まで聞いていなかったんですが本当に感動的ないい曲でしたね。
ネギまアニメ化において声優や音楽に関しては裏切られた覚えがないのでそれだけは本当に良かったです。


長々と語ってしまいましたが最後になります。
Twitterでの感想に書いたんですが、この劇場版の感想を一言で言うなら「寂しい」という感じです。
最後のアニメ化をこんな未完成な感じで終わってしまう「寂しい」ももちろんあるんですが、
なにより本当にネギまはこれで終わりなんだな…という「寂しい」がものすごく大きかったです。
おかげでさんざんな出来ではありましたが最後の卒業式でちょっと泣きそうでしたよw
ネットでの酷い評判もありますが、本当にネギまが好きな人でちゃんと劇場に足を運んだ人は多分似たような想いを持った人はいると思います。
なんなら語弊があるかもしれませんが変な満足感も感じられた気もするんです。


だからこそこの映画を「本当の最後」にはしてほしくないなと思います。
100点中30点とか言いましたけど、個人的には100点中60〜70点あれば大満足できたと思うんです。
それは公開直前に時間を短縮していなければ…とかいうほんの少しでこのくらいの点数まで上げられたはずです。
できればもう一本新しいアニメを作ってほしいところですが、まあ現実的にはBD化の時に修正くらいでしょう。
でもこの評判の悪さではその修正されたBDすら発売されないんじゃないかと思います。
15分といわずしっかり30分くらい追加して、しっかり説明できた話をせめて見てみたいんです。
本当に最低でも「完成した劇場版」を見る機会を是非与えてほしいと思いました。