準々決勝1日目

昨日行われたW杯準々決勝のドイツ対アルゼンチン、イタリア対ウクライナについて。
ドイツ 1-1 アルゼンチン
4PK2

過去に86,90年と2大会連続で決勝で実現したカードが今回は準々決勝で再現されるという贅沢な一戦。ここまでの両チームはなんと総得10点と総失点2点という勝ち上がり方が全く一緒というおまけまでついている。ともに攻撃陣が好調でドイツは2トップのクローゼ、ポドルスキが4点、3点と合わせて10点中7点も取っている。一方のアルゼンチンはエースのクレスポはもちろんその他の選手も活躍し、選手層の厚さをこれでもかと見せ付けてくれる。


そんな両チームの前半戦は静かなものだった。先述の通り、過去に何度も戦った国同士手の内を知りすぎるが故の慎重な立ち上がりとなったのだろうか。個人的には慎重というよりはむしろ両チームが長所を消しあう内容になっていたように思う。しかし後半戦から試合は激動の展開を迎える。


後半始まってすぐアルゼンチンの右CKのチャンス。キッカーのリケルメは前半の2本の左CKではいずれもニアにけっていたが、ここで一転して中央へ美しい弧を描くキック。それにあわせたのは決して上背があるわけではないDFアジャラ。クローゼとの競り合いを制して完璧なヘディングを決めた。これで攻撃的にならざるを得なくなったドイツは右にオドンコル、左にボロヴスキとフレッシュな選手を入れて反撃に出る。そしてここでアルゼンチンにアクシデントが発生し、GKのアボンダンシエリに変えて急遽レオ・フランコが出ることに。この守備陣の交代に不安になったのか、アルゼンチンのぺケルマン監督はリケルメに代えて守備的なカンビアッソを投入。しかしこの采配が後々あとを引くことになった。


その後すぐに左サイドのバラックから中央へのクロスボールが上がる。待ち受けたボロヴスキは頭で軽く後ろにそらすとそこには得点王のクローゼが。途中出場のボロヴスキとクローゼのブレーメンコンビが見事な連携でドイツに待望の同点ゴールが生まれた。守備を固めたアルゼンチンの交代は功を奏せず、逆にその後勝ち越しをしようと攻撃を試みるも華麗なパス回しは鳴りを潜めてしまった。ここで一気に畳み掛けたいドイツであったが、司令塔のバラックが足を痙攣するアクシデントがあり、しかも交代枠を使い切っていたためそのまま出場しなければならなかった。このため実質11対10の戦いとなり、延長でも決着がつかずに勝敗はPK戦にゆだねられることとなった。


ここで既にドイツ有利な状況は出来上がっていたといえよう。アルゼンチンのGKは急遽出場せざるをえなかった控えのフランコ。それに対してドイツのGKはチャンピオンズリーグでの無失点記録を作ったレーマン。キッカーに対するプレッシャーは全く違ったはず。ましてやドイツはホームチーム、アルゼンチンキッカーに対してはものすごいブーイングが起こっていた。残念ながら11対10の延長の間に試合を決め切れなかったアルゼンチンにはノーチャンスだった。


イタリア 3-0 ウクライナ
イタリアの磐石な完勝だった。イタリアが開始6分で簡単に先制した時点でウクライナは得意のカウンターを封じられてしまった。なぜなら先制したイタリアは無理に攻める必要はなく、逆に点を取らなければいけないウクライナは攻めざるをえず、ここにウクライナがボールを回す展開が起こることとなったからだ。ウクライナはボールを回して守備陣を崩して点を取ることを得意とせず、逆にイタリアは相手にボールを「回させる」ことについては世界一慣れている国。この前半だけで試合は決していたようなものだった。


しかし後半はウクライナが高さを活かした攻撃で次々と決定的な場面を作る。しかしこれをしのぎきったイタリアの守備陣には脱帽というほかない。中盤のガットゥーゾはすばやく攻撃の芽を摘み、クロスをあげられてもカンナバーロが絶妙の対応を見せ、決定的なシュートが来た場合はGKのブッフォンが最後の砦として立ちはだかった。見ていて惚れ惚れするしかないイタリアのカテナチオだった。


そしてウクライナの猛攻に耐え切ったご褒美とでも言うようにFWのトニに2得点が生まれる。今まで試合中では間違いなく貢献はしていたものの点が生まれないというだけで批判を浴びていたトニだが、この2得点で気持ちも入れ替わることが出来ただろう。そして同時にこの2点はウクライナの息の根を止めるには十分すぎた。結局ウクライナシェフチェンコの個人技に頼るものの万事休すといった感じで敗退した。しかしイタリアは強い。次はドイツとの一戦になりますがアウェイのプレッシャーを跳ね除けて勝って欲しいです。


あ、あと柳沢はイタリアの3点目のシーンを100万回くらい見直すといいと思うよ?