『Routes PE』
1月末に発売された『Routes PE』ですが、テストと論文を終えて先週やっとこさクリアしたので感想をば。
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最高。以上。
いやね、自分が今までやってたエロゲーの中でも既に一番好きだったわけですよ。それがPS2に移植されて、声がついて、オートモードがついてとはっきり言ってより完璧になって発売されたわけですよ。
褒めない方が無理。
このままだとただの痛い人なのでwまあ具体的に説明しましょう。
1.絵
原画はカワタヒサシさん。
正直言って売れ線の人ではございません。Leafが誇るみつみ美里、甘露樹、なかむらたけしらの東京組に比べると人気は2段くらい落ちます。しかし現存する葉の原画の中では最古参だけあって画力は相当のもの。この『Routes』は2003年発売なので絵が今とは少し違いますし、大阪組のソフトなので塗りがセルっぽいのが賛否分かれるところでしょうが、塗りがしっかりした絵を見たい人は『誰彼』や『WHITE ALBUM』をやってみることをオススメします。ちなみに他には『To Heart』の志保やレミィ、『To Heart2』のるーこや花梨なども描いてらっしゃいます。基本的に炉の人なので幼女を描くときの気合は一味違いますw最近はブログ(リダイレクトの警告)でアイドルマスターのやよいや伊織に御執心の模様。
2.シナリオ
シナリオは永田和久、まるいたけしの2名。永田氏は『テネレッツァ』のメインシナリオ担当で、まるい氏は『Tears to Tiara』のメインシナリオ、『To Heart2』の花梨と草壁さんのシナリオを担当してらっしゃいます。なお永田氏は既に退社してます。
この2名のシナリオの特徴は何と言ってもノリの違いでしょうか。永田さんはいかにも青春ドラマって感じのシナリオが得意で、キャラ同士の掛け合いや、ここ一番での臭い台詞なんかが青臭い青春モノって感じをかもし出しています。逆にまるいさんは基本的に独白でシナリオを進めていくタイプ。会話部分は面白みがありませんが、自分の確固たる信念めいたものがしっかりしているせいか非常に話に深みが感じられます。どちらかというとファンタジーメインのライターさんで、情景描写はものすごく綺麗です。
この2人のシナリオの違いが話に深みを持たせるわけですが、正直言ってあまりにも違いすぎるためプレイヤーは戸惑いがちです。このゲームでは5人のメインキャラがいるわけですが、そのうち3人(皐月、ゆかり、リサ)を永田さんが、2人(七海、夕菜)をまるいさんが担当しています。そしてゲームのオススメルートとして後者2名を前者の間に挟むのがベストとされてるので*1、永田氏のハイテンションなノリに慣れた人はいきなりの淡々とした展開にびっくりするわけです。この点が正直言って致命的な欠点でしょうか。ただどちらも話は面白いのでやれば気にはならなくなるのですが…
ちなみにオフィシャルでのストーリー紹介はこんな感じ。
普段はごくごくフツーの学生である宗一。
今日も今日とて、思い切り学校で惰眠を貪っている。
そんな彼を「起きろバカ!」と明るい罵声で叩き起こすは
いつものアイツ、皐月。
巻き起こる大騒動、仲良く喧嘩する二人。
「だめだめー」
そこへのんびり割り込むのは、
本人的には大慌てのゆかり…
…それはいつもの、ただの日常。
……しかし、そんな普通の日々を揺るがせる小さなヒビ、
それは大型船が次々と消失する謎の事件。
夕暮れの街突如現れる謎の女……リサ=ヴィクセン。
リサの出現をきっかけに、
宗一はその事件に首を突っ込むことになる……
「情報」を自由自在に手に入れる人間達がいる。
ひと昔前まで「スパイ」と呼ばれていた「情報収集稼業」の人間は、
現在では「エージェント」と呼ばれ、世間一般にある程度浸透していた。しかし、その正確な実態に関してはまだ一部の人間にしか知られていない…。
見て分かるとおりスパイモノのアクション系なわけですが、正直言ってこのゲームの魅力はこのスパイ部分ではありません。それが自分、もしくは他にこのゲームが好きな人が思っている点でしょうが、これは純粋な「恋愛モノ」だと思うわけです。アクション部分はそのスパイスにすぎず、事実正直アクションの描写なんかは他の純粋なアクションモノに比べればしょぼいものですよ。しかしひとたび恋愛描写の部分なると本当におもしろい。永田さんのスパイアクションメインな派手な恋愛に対し、まるいさんはそれとは別の「スパイではない普通の恋愛」という可能性を見せてくれます。
「情報」という世界中に満ち溢れるものを全て集めるのは無理なように、自分の人生の選択肢を全て選び取ることもまた不可能。しかし可能性だけはいつでもあふれていて、そのどれを選ぼうとも「自分」という根本的な存在は代わりようがない。「routes(=選択肢)」と「roots(=根源)」について考える主人公の成長物語というのが一番正しい表現でしょうか。
3.音楽
- アーティスト: ゲーム・ミュージック
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2003/05/21
- メディア: CD
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彼らが担当する音楽ですが…
最高。完璧。文句なし。
もう本当にこれだけは自信を持ってオススメできますが、Leafのみならずエロゲ史上全体を通しても最高クラス、具体的に言うとKeyのAIRクラスとでも言うことが出来ます。そして自分がこのゲームが大好きだといえる理由の大部分もこの音楽部門です。
まずゲームの印象を決める主題歌。OPの「Remote Viewing」、EDの「あなたを想いたい」、挿入歌の「君をのせて」の3曲とも名曲なのですがなんといっても「あなたを想いたい」は本当に稀代の名曲といえます。2年前くらいのコミケで発売されたLeafの人気曲をオルゴールアレンジした『Melody Casket』というアルバムがあるんですが、それに収録する曲はファンの投票によって決められ、なんとこの「あなたを想いたい」はその中で得票数が堂々の1位だったのです。5万本以上を売り出し、一世を風靡した『To Heart』や『こみっくパーティー』、さらには10万本以上を売上げ当時ノリにノッていた『To Heart2』などの楽曲を抑え、『誰彼』ショックの後遺症で3万本に満たない出荷数だったゲームの曲が1位を取ったのですからどれだけ人気があったのかわかるでしょう。
そして主題歌以上にゲーム本編と密接に関係するBGMでももちろんそのクオリティは代わりません。というよりむしろ全体評価を上げているのはこのBGM達でしょう。このゲームのBGMで印象的なのはキャラのイメージ曲の異常な多さでしょう。メインヒロインはもちろん脇役達にまで個別のBGMが用意されており、しかもそのどれもが印象的で文句のつけようがない。ここにも面白いエピソードがあるんですが、Leafのボーカル曲ばかりを集めた『Leaf Vocal Collection』というシリーズのアルバムで、1と2ではそれぞれのアルバムの中の看板作品である『To Heart』の神岸あかり、『こみっくパーティー』の高瀬瑞希といったメインヒロインのキャラBGMがそのままボーカライズされていました。そして当然3では『Routes』のメインヒロインである皐月の曲がボーカル曲になると思われたのですが、実際にボーカル曲化されたのは脇役中の脇役のミルトという車のBGM「E Junk」でした。楽曲全体が人気の『Routes』らしい出来事ですね。
4.システム
最後にシステム面全般ですが、こちらもPC版の良い所プラスアルファという感じでほとんど文句のつけようがございません。PC版では個人的に気に入っていたのが右クリックメニューで、画面全体がシンプルなデザインに変わってエロシーンを家族に見られそうなときに隠すのに最適wそしてそれ以上にうれしかったのが現在演奏中のBGMタイトルが左下に表示される所。上で語ったようにどれも魅力的な曲だったので、初めて聴いたときから「この綺麗な曲はこういうタイトルなんだ」と焼き付けることができました。おかげで自分は主題歌含む全40曲ある曲全てのタイトルを覚えていますよw
そしてこういったいいところを据え置きのまま改善された部分の最たる例は何と言ってもヴォイスが入ったことです。PC版の最大の弱点だといわれていたのが「会話が誰が喋ってるのかわからない」という問題でした。特に永田シナリオで顕著なのですが、複数人で話しているとビジュアルノベルの特性上カギカッコだけでは判別できないというものでした。本当に小説を楽しむかのごとく淡々と読むのがビジュアルノベルの特徴ですから、キャラごとにカギカッコの色を変えるとかすると雰囲気が崩れるのですが、声が入ったことによってすっきりとこの問題は解消されました。そしてその声自体もほぼベストキャストと言っていいでしょう。富坂晶や三宅華也などといった関連作品のおこぼれで採用された人もいるにはいましたがまあ気になるほどでもなかったですし、メインヒロイン達は本当に合ってたので個人的に不満な点はそんなにないです。
また個人的にうれしかったのはオートモードが追加されこと。これによって手放しで画面を見ているだけで勝手にページがめくれるので飯を食いながらストーリーを進められたりとかなり便利でした。
総評
以上の4部門をまとめて、各部門25点ずつに評価してみました。
- 絵 20点
- シナリオ 20点
- 音楽 25点
- システム 25点
総計 90点
まあこんなもんでしょうか。個人的には100点つけたいくらい大好きなんですが、絵とシナリオはやはり人を選ぶといわざるをえないのでそこは減点対象となりました。またシステム面も満点をつけましたが、攻略ルートがほぼ固定されているという点で減点をする人はいるかもしれません。個人的には製作者が作りたかったものをそのまま受け入れるのがいいと思っているのでルートが固定されててもあまり気にしないので減点はしませんでした。音楽に関しては文句なしで満点です。っていうかこのゲームが満点じゃなかったら一体何に満点をつければいいの?って思いますよw
こんな拙い感想ですが、これで少しでも興味を持たれた方は是非やってみてください。やろうと思う人は下からこういうゲームが好きだろうとは思うので多分損はしないと思います。
*1:ちなみに初回プレイは必ず前者3名のうちどれか、そして2周目は必ず後者2名のうちどちらかをクリアする仕様となっていて、3周目以降から自由に選べる。