『Re:packaged』レビュー
Re:Package / livetune feat.初音ミク (ジャケットイラストレーター redjuice(supercell
- アーティスト: livetune feat.初音ミク
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2008/08/27
- メディア: CD
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まずメジャーに移植するに当たってかなりの問題と思われていた著作権のJASRAC信託を回避したこと。これは発表当時からかなりのインパクトがありました。JASRACの善悪を問わず、ミクの着うた問題などでJASRACに信託するといろいろとめんどくさいという意識がありましたのでこれは非常に大きなことだったと思います。
次にアルバムジャケットにミクのイラストを使用したこととアーティスト欄にも「feat.初音ミク」表記をクリプトンから許可を取ったこと。これの何がスゴイのかって言う人もいるかもしれませんが、クリプトン側は「初音ミク」を自分達が作った「音楽ソフト」という意識を凄く持っています。だからキャラクターという特性はありますが、アーティストではなく「楽器の一部」なのでアーティスト欄に書くのは冷静に考えるとおかしいということがお分かりでしょうか?だれもアーティスト名に使ったギターの名前を書こうとはしませんよね。
同じようなことからアーティストはlivetuneなのにジャケットがミクになったらそれはまた問題がある、ということからメジャー流通のCDにはミクのイラストを使ったジャケットを許可していませんでした。この何でもないようで大きな壁をクリプトン側と折衝して打ち砕いたビクターの努力はもっと評価されるべきです。
最後に広報活動にかなり積極的だったこと。これが一番衝撃だった人は多いはずです。
livetune feat.初音ミク specialsite
発売直前に公開されたこのOHPの力の入れようは我々の度肝を抜きました。またどうみてもオタク向けな商品にもかかわらず、近年Perfumeなどでテクノポップが浸透しているからか、若年層向けの男性誌や女性誌の裏表紙に広告を載せたり、タワレコやHMVでも積極的に販促イベントを起こしたりと「オタクとは違った一般層」に対して売り込もうという気概が見えたのは本当にうれしい。そのおかげもあってか、昨日付けのオリコンアルバムチャートのデイリーランキングで3位に入るという本当に大快挙と言っていい結果を出しました。
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/d/
これが週刊だとどういう結果になるのか楽しみですが、ビクターが本気でこのCDに対して利益度外視で(15曲入り2000円はどう考えても安すぎ)がんばってくれたことにただただ感謝するだけです。
そしてここまではビクターばかりを褒め続けましたが、やはりこのアルバム自体が良いものでないとこういった結果は出せなかったはず。ですからここで改めてlivetuneのおふたり、kzさんとかじゅきさんにありがとうとお疲れ様という言葉を送りたいです。それでは長い前置きになりましたが曲の方のレビューに移りたいと思います。
01.Anthem
「Anthem」とは国歌、それが転じてある音楽ジャンルなどで代表する曲を意味します。つまりこの1曲目はその名の通り「livetuneを代表する曲」ということですね。正にその名の通りlivetuneらしいテクノ調でクールな仕上がりを見せた一曲。
02.Packaged
もうミク厨でこの曲を知らないやつはモグリだといわざるを得ないくらいの超有名曲。1曲目がlivetuneのAnthemならこの曲はVOCALOIDのAnthemと言っても良いくらいでしょう。これより前にも「Ievan Polka」や「恋スルVOC@LOID」などでミクが好きになっていたんですが、自分にとってはやはりこの曲こそが原点。再生数2桁のときから見つけた衝撃は今でも鮮明に覚えています。
03.over16bit!
かじゅきさん1曲目はタイトル通りのピコピコサウンド。でもノリノリな曲というよりはゆったりと休憩するにふさわしい落ち着きを持った曲ですね。同人版ではショート版だったんですが今回晴れてフル版で収録ですよ!終盤の浮遊感は最高ですね。
04.シューティング☆スター
かわいらしいガールズテクノポップ。これこそPerfumeっぽいというのにふさわしいんじゃないでしょうか。まあPerfumeにしてもどちらかというと初期の方ですが。作詞が女性というのはやはりこういう曲にはぴったりですね。かじゅきさんは前の曲と良い、こういう女性的なやわらかい曲を作らせたら天下一品です。
05.虹色
同人版のときに発表されたkzさんの曲。この曲は同時に発表された「ファインダー」に比べておとなし目なアレンジですが、4つ打ちサウンドの軽快さは健在。またkzさんらしい「光」と「音」に着目した歌詞もいつもどおりです。
06.椛
個人的にかじゅきさんの曲の中で一押しのナンバー。読みがわからない人のためか、今回歌詞カードに「椛-momiji-」と表記されておりましたwぶっちゃけ自分も最初読めませんでした…タイトルどおり「和」という感じのイントロが一発で世界を作ってくれます。和風テクノが好きな人へ本当にオススメしますよ。
07.Light song
今回のメジャー版にようやく収録された新曲。ニコニコに発表された当初からkzさんが「軽い感じで作りました」と言ってる通りかなりあっさりした曲です。あんまりインパクトが残らない作品だと思っていましたがなかなかにスルメ系かなと思ったり。
08.リラホルン
かじゅき氏最高傑作と呼び声高い名曲。謎めいた歌詞とそれを増幅するミステリアスなアレンジ。ゆうきまさみ先生も一押しするほどの曲です。はまれば一日中聞いていられる中毒性を持った曲かも。
09.日々の夢想い
ほぼアルバム唯一のバラード?と言って良いこの曲。もちろん作っているのはかじゅきさんです。かじゅきさんはストリングスを使うのも非常に上手いですね。ピアノとストリングスのハーモニーは必聴です。
10.ファインダー
上記のビクターの特設サイトでBGMとして使われている一曲。やはりこの曲はこのイントロで勝負ありと言っても良いんじゃないでしょうかwたぶん多くの人がkzさんやlivetuneの曲と言って想像するのはこの曲や「Packaged」でしょう。ちなみにスペシャルサンクスに入っていた桃井はるこさんもこの曲が一番好きだとか。
11.ドキドキ♪ハートチューン
かじゅきさん節がぶっ飛んでしまったこの曲w最近のMEIKO曲でよく用いられるロリ調教をわざと施してさらにミクを幼くした感じで曲の電波具合と上手くマッチさせていますね。まあ自分は電波曲には興味ないんですけどね…
12.ストロボナイツ
ここからずっとkzのターン!といことでここで個人的に「Packaged」に次ぐ神曲「ストロボナイツ」の登場です。曲名はどう見てもスーパーカーの「Strobolights」のパクリですが、曲自体はあんまり似てないっすね。もうイントロのキーボードでKOです。とにかくテクノに興味ある方は一度聴いてみてください!
13.Last Night, Good Night
メジャー版の目玉曲と言って良いkzさんの初の4つ打ち以外の楽曲です。ニコニコではredjuiceさんの気合の入った動画にのせられていますが、曲だけ聴いてもやはり良い。ピアノやドラムなどがメインではありますがさすがkzさんというべきか、何を作らせても一定のレベル以上に持っていきますね。個人的にはサビ前辺りからのスネアがたまらなく好きだったり。
14.Packaged -piano ver.-
同人版では締めを飾っていたこの曲。メジャー版になってより音質が改善されたからかピアノとミクの声だけで十分聴けるものができたと思います。ぶっちゃけ同人版ではあんまり要らない感じだったしなぁw