「春高」から「冬高」へ?

春高バレー】1月開催、普及と強化へ一石
http://sankei.jp.msn.com/sports/other/090525/oth0905252051023-n1.htm
これは取り上げざるを得ない。

春高バレーといえばみなさんご存知ジャニーズのライブ会場・・・
ではなくフジテレビが総力を結集した「若さでアタック!春の高校バレー」です。
さすがプロだけあってなかなか耳に残って且つ的を得たネーミングですよね。
まず春の高校バレーの通り春に行われるのは当たり前なのですが、
その前の「若さでアタック!」がこの場合肝。


若さは何も高校生だからというわけではなく、3年が引退した後の
2年生までで結成された新チームが出場する大会という意味です。
時期的にも考えて野球のセンバツと感覚的には近いでしょう。


つまり見る側もやる側も「新チームのこれからを占う試金石」とか
「このチームが夏にどこまで成長しているのか」とかを楽しむ大会だったわけです。
また2年生までという制約でどんなに期待の選手でも
2回しか参加できないというある意味「プレミア」感もありました。
だから「春高に出場する」というのは本当に高校バレー界でも特別な意味を持っていました。


しかし今回の改革で上記のほとんど全てががらりと変わります。
春の高校バレー」が「冬の高校バレー?」に変わるのは当然として、
「新チーム初のビッグタイトル」から「高校最後のビッグタイトル」に、
「2回しかチャンスのない貴重な大会」から「3回もチャンスがある大会」に・・・


正直引用もとのニュースで好意的に解釈されていた意味がわからない。
間違いなくこの改革で得をするのは春高のスポンサーだけです。
だって理由が「高校三大タイトルのクセに三年生が出れないから完成度が低い」ですよ?
「6月で引退した人は空白期間が長くて不安」なんてのは完璧建前です。
空白期間を過ごしているやつは普通の大学に行ったり就職します。
ちゃんと実業団や強豪大学にスカウトされているやつは部活を辞めません。
つまり上手いやつには空白期間なんかないんですよ。
さらに言えば普通のやつはそこでバレーをやめたも同然なので
「空白期間」なんてもんじゃなくただの引退ですよ。


また上に書いたこととちょっと矛盾するかもしれませんが、
春高はプレミアムな大会と同時に敷居の低い大会でした。
完成度の低い新チームなので意外な伏兵が出場するのも夢ではなく、
しかも全国ネットで試合が放送されるので知名度アップにはもってこいでした。
実際元プロの選手が弱小チームやクセのあるチームを指導して
春高に出場させるという擬似サクセスストーリーを
コーチングキャラバン」という企画で毎年複数の高校に行っています。


それが今度の「高校最後のビッグタイトル」になったことでほぼ不可能となりました。
これはスラムダンク読んでる人ならみんなわかるでしょう。
夏のIHを終えて引退しないのはごく一部の選手だけです。
普通の高校にいる人は夏が終わったら受験の準備が始まります。
そこで「冬高(仮)にだけは絶対出たい!」と考える三年生がどれだけいるでしょう。
つまり三回チャンスはあるけど実際は二回しかないという
「プレミア感がなく敷居の高い大会」と変貌を遂げたわけです。


いろいろと批判的なことを書いてきましたがもちろんメリットはあります。
ニュースでもいってる通り間違いなく高校最高レベルの試合が行われるでしょうし、
実際ただ練習に参加するより大会というモチベーションやプレッシャーがあると
空白期間は濃密な練習時間となることは確実です。


ただ自分が一番寂しいのはこれで公立高校の出る幕がますますなくなったこと。
上記の通り冬高(仮)のフジテレビによる宣伝力は凄まじいので、
それを利用したがるのは私立高校ばかりとなるでしょう。
もちろん公立はやはり夏で引退するのが慣例となっていますし。
そういう意味でも「若さ」と「驚き」がなくなってしまうのはやはり寂しいと思うわけです。